映像が浮かぶ1行を-企画書は1行[野地 秩嘉(著)]

映像が浮かぶ1行を-企画書は1行[野地 秩嘉(著)]

著者はノンフィクション作家として幅広いフィールドで活躍するベテランの野地氏。「企画書」というとビジネス書のイメージが強いが、著者は放送作家の小山薫堂から日本サッカー協会の川淵キャプテン、広告代理店代表の岡康道などさまざまな人に取材し、プラン実行に結びついた企画書について考察を重ねている。

シンプルで一言で伝わるように

日本サッカー協会(JFA)は巨大組織である。その組織のトップを務める川淵キャプテンは、古川電工の勤務時代に多くの企画書を書き、JFAのキャプテンになってからは数多くの企画書に目を通してきた。その川淵氏が言うのが

「企画書は短い方がいいに決まっている。」「最大の眼目は冒頭に1行で書く。それだけ。読んだ人が1行で分かればそれに越したことはない。」

GMO会長兼社長の熊谷氏は21歳のときに「35歳までに会社をつくり、上場させる」と目標をたて、実際に36歳のとき、自ら創業した会社を店頭公開した。その熊谷氏もプロジェクトの企画書の書き方に関して

企画書のポイントは一つだけ「結論が先」です。できる限り短く。インパクトのある言葉で書く。

と強調する。その理由として「読む相手の身になって考えて」と語っている。

巨大組織のトップ二人が口をそろえていうように、企画書は「シンプル」な方がいいのだろう。それも、的確な「1行」が効果ありそうだ。

いい企画書を書くにはいいものをたくさん知る

ラジオ番組制作会社E.A.U.代表の林安二氏の企画書は、ギャラリーオーナーが選んだ写真を使った企画書、ロンドンのクラブと提携した企画書など、シンプルながらイメージが伝わってくる形になっている。ラジオ番組の企画とはセンスの企画と語る。

感動を企画にしたら、それはすばらしいものができる。いい企画書を書くにはいいものをたくさん知っていなくてはならない。企画を考える前提として、自分の生活が豊かでなくてはならない。

良い企画書を作成するために、良い企画を考えること。表現のテクニックだけに凝ってもダメ、という的確なアドバイスだ。

では、いい企画とはなんだろう。著者は日本初のクリエイティブエージェンシーであるタグボートの代表、岡康道氏に取材をしている。

岡氏の企画書には特徴があり、紙に書かず、頭の中にある企画をひとことでプレゼンするだけだという。

広告の企画で優れたものは、それがテレビCMであれ、あるいは新聞、雑誌であれ、同じだと思う。ひとこと説明しただけで、相手が、ああ、それは面白いな、と賛同してくれるもの

岡氏は企画書を練り上げるより、本質を追求していく、という。そして、的確な1行をクライアントに投げかけ、企画を実現していく。

こうして、15人を越えるインタビューから、著者は「企画書の1行は内容をまとめたものではない」と気づく。「読んだ人の脳裏に風景を映し出すこと。その力を持った1行」が企画を通す力を持っているのだという。

企画が実現したときのイメージが映像として浮かぶ「1行」をつくれるかどうか。それが、企画書のカギのようだ。


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