課題解決は観察から始まる-デザイン思考が世界を変える[ティム・ブラウン(著)]

課題解決は観察から始まる-デザイン思考が世界を変える[ティム・ブラウン(著)]

著者は、デザインコンサルティング会社「IDEO」のCEO。「デザイン思考」をキーワードに、イノベーションを生むまでのステップや課題解決のためのデザイン的「思考」を解説しています。課題解決には、「観察」と「洞察」の重要性を実感するなっています。

デザイン思考とは

「デザイン」とは目で見える部分だけの「形」のことだけではない。それも「デザイン」に間違いはないが、その他、「形」をハブに関係各所に影響を与えることが、著者が言う「デザイン」になる。ただ、それは簡単なものではない。

事実、著者が始めてデザインしたのが、ある機械メーカーの業務用木工機械。見事な形状で販売されたその製品自体は今もあるが、それを生んだ機械メーカー自体はもうない。

私はデザイナーとして重要なのは、機械のデザインではなく木工業界の未来だということに気づいてなかった。

(「はじめに」より)

そのときは、工作機械の「デザイン」で終わってしまった、と著者は悔いている。さまざまな経験を経た今であれば、工作機械をハブに木工業界の繁栄につながるような仕掛け(デザイン)もしていたかもしれない。そうすれば、機械メーカーも残っていただろう。

観察し、経験して「洞察」する

「経験」をデザインするのもデザイナーの重要な仕事。ただ、経験をデザインするのは難しく、解決方法としては対象をよく「観察」して「洞察(インサイト)」するしか方法はない。その例として、マリオットホテルでの事例を紹介しています。

マリオットホテルでは、疲れた旅行客もチェックインカウンターで素晴らしい経験をすれば、残りの旅程が最高のものになる、と仮定していた。だが、観察しているとそうでもなさそうだ、という結果になり、検証することになった。

デザインチームは飛行機を降りた旅行客を出迎え、ホテルまでタクシーまたはレンタカーに同乗し、チェックインプロセスを細部にわたるまで観察した後、部屋まで同行した。旅行客は部屋に入ってベッドにコートを放り投げると、テレビをつけてふーっと息を吐いた。それがチームの発見した非常に重要な瞬間だった。この瞬間にこそ最も明確なイノベーションの機会が潜んでいたのだ。チームの説得によってマリオットは資源をこの方向に転換した。

(「初心にかえる」より)

「観察」によって、旅行客が最も落ち着くのは、チェックインではなく、部屋に入って一息つく瞬間だったことが分かった。経験による観察が重要だ。

デザイン思考を実践する準備

私たちがデザイン的思考を身につけるには、どうしたらよいか。著者は、まず「なぜ?」と問いかけることが重要、と語る。

もう一つが、「視覚化」。

観察やアイデアを視覚的に可視化しよう。ノートにラフなスケッチを描いたり、携帯電話のカメラで写真を撮ったりするだけでもかまわない。

(「いま、未来をデザインする」より)

可視化して、アイデアの源泉にしたり、他人と共有するのが重要。確かに自分のアイデアを伝えるときも、100の言葉より一枚の絵の方が良い。素早く、具体的に伝わる。

すべてを「デザイン」的に考える。それは簡単なことではないけど、思考錯誤して考えていくことが重要だ。

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