シン・ニホン‐日本再興計画の提言書

シン・ニホン‐日本再興計画の提言書

著者は慶應義塾大学 環境情報学部教授、ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)を務める一方、内閣府 総合科学技術イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会委員など、一言では言い現わせないほど他分野で活躍してる人である。その活動の根源にあるのは「データ」に裏付けされた事実をもとに、マッキンゼー時代に会得したコンサルティング能力を発揮し、提言しているのだろう。

「日本国」に対する提言書

他国と比べ、世界の先進国から取り残されつつある日本を再び、再興するにはどうすればよいか、の提言書である。そのため序盤で様々な「定量データ」を提示し、世界各国と比較して、日本がどの分野でどれくらい遅れをとっているかを突き付けてくる。そこには、海外の進歩のスピードに対応できなかった日本社会、若手への冷遇が含まれているようにも読める。

世界の移り変わりの速さとそれにいかに対応していくか。世界はどのように対応してるのかを各国の企業、人材や先進技術を引き合いに紹介。とくに誕生から10年のスマホが世界の中心に映っていることに言及。「スマホの上に現在、世界最大の大陸があることを理解している日本人は残念ながらまだ少ない」という内容にはドキリとした。自分ではそれなりに使いこなしてるつもりだが、日本全体をみればそうでもないのかもしれない。

未来を創る人材育成

変化がどんどん早まっている。ではどうしたら「明るい未来」を生み出せるのか。著者は「未来は我々の課題意識、もしくは夢を何らかの技・技術で解き、それをデザインでパッケージングしたもの」つまり「未来=夢×技術×デザイン」。データやAI、バイオ技術など科学知識や技術は重要だが、それをどう生かすか、どのような未来を作りたいのか、課題意識、将来への夢が重要、だと語る。

そのために求められる人材、スキルもきちんと定義している。とくに「人材育成」に関しては、大学の研究開発費の増加をはじめ、若手にもっと投資を、と強く訴えている。未来を創るのはこれからの人なのだから、若手に投資をするのは未来に投資をすることと同じだ。もちろん、投資する人間像も描かれている。

ほしい姿をデザインする際のベースになるのは、夢を描く力、妄想力、自分なりに見立てる力だ。キカイが出してくる指示をそのまま伝えても多くの人は動かない。自分が腹落ちした上で、ビジョンに合わせて、受け手に合わせて説明し、動かすのも大事な仕事になる。

多面的な人材のAI-ready化

未来は目指すものではなく創るものだ。そして、この本にはそのためのやり方が詰まっている。自分が目指すべき未来、コミュニティが目指すべき未来の形。
明るい未来にするためにも、一読することをお勧めします。

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